コンセプト

crawlは規則に基づいて撮影、編集されたデジタル写真の集積による実験映像作品である。ここでいう規則とは、例えば10歩移動するごとに一枚デジタルスチルカメラで写真を撮影することである。規則に基づいて一日の日の出から日没迄の間、選定された巨大なモチーフ(川と橋/鉄塔)と関わりながら撮影を続けるという非日常的な時間の中で、撮影者は眼差しの運動体として、環境の情報を採取していく。
前作では送電鉄塔および送電線をモチーフとして撮影を行ったが、今回は川という環境的なモチーフを扱い、より広い視野で撮影を行った。今回はGPSのユニットを同時に携帯することで撮影した位置情報を採取した。またカメラのヘッドにステレオガンマイクを装着することで撮影したフレーム内の音を採取することを行った。これはエティエンヌ・ジュール=マレーが19世紀に発明した写真銃にインスパイアされたものである。

制作スコア

*撮影規則

  1. 一日の日の出から日没までの間、川に沿って移動しながら、デジタル一眼レフカメラで撮影をし続ける。
  2. 10歩進むごとに一枚写真を撮影する。
  3. 移動中はICレコーダーによって環境音を持続的に採取する。
*編集規則
  1. 撮影された写真の中から、写真を選び、選んだものとそうでないものでそれぞれ継続時間を割当て、撮影した順序でシーケンスに配置していく。
  2. 音は長時間の環境音のトラックを撮影した写真と対応するように細かく裁断し、写真と同様に時系列に沿って配置する。

協力

  • SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム
  • 情報科学芸術大学院大学(IAMAS)
  • IAMAS HDプロジェクト