crawlは規則に基づいて撮影、編集されたデジタル写真の集積による実験映像作品である。ここでいう規則とは、例えば10歩移動するごとに一枚デジタルスチルカメラで写真を撮影することである。規則に基づいて一日の日の出から日没迄の間、選定された巨大なモチーフ(川と橋/鉄塔)と関わりながら撮影を続けるという非日常的な時間の中で、撮影者は眼差しの運動体として、環境の情報を採取していく。
前作では送電鉄塔および送電線をモチーフとして撮影を行ったが、今回は川という環境的なモチーフを扱い、より広い視野で撮影を行った。今回はGPSのユニットを同時に携帯することで撮影した位置情報を採取した。またカメラのヘッドにステレオガンマイクを装着することで撮影したフレーム内の音を採取することを行った。これはエティエンヌ・ジュール=マレーが19世紀に発明した写真銃にインスパイアされたものである。
*撮影規則