crawlは規則に基づいて撮影、編集されたデジタル写真の集積による実験映像作品である。ここでいう規則とは、例えば10歩移動するごとに一枚デジタルスチルカメラで写真を撮影することである。規則に基づいて一日の日の出から日没迄の間、選定された巨大なモチーフ(鉄塔)と関わりながら撮影を続けるという非日常的な時間の中で、撮影者は眼差しの運動体として、環境の情報を採取していく。
今回のような規則に従って制限の中で撮影する際、反復による行為の自動化と省略化が生まれてくる。しかし撮影の中では全く逆に、新しくたちあがってくる認識とか意識の拓き方があったように思う。それは具体的にはコンポジションやフォームといった構成的な感覚というよりは寧ろ、太陽や空気といった環境に対して今まで自分が持っていなかったような新しい捉え方であり、その発見が即時的に次の行為へとフィードバックしていく。この作品はそのような撮影中の認識も踏まえ、いかに「撮影する」という行為そのものを表現するか、ということに留意して制作・編集した。(2006/10/05)
*撮影規則